今回お話ししていきたいのは英国最古の革靴ブランドとして世界的に名高い「Tricker’s(トリッカーズ)」について。
“英国最古”というのは革靴好きの間では有名なのですが、歴史の長いブランドなだけあってこれ以外にもさまざまなヒストリーや特徴があります。
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最古の英国革靴メーカー「Tricker’s(トリッカーズ)」とはどんなブランドか
「Tricker’s(トリッカーズ)」について皆さんはどんなことをご存知でしょう?革靴が好きな方なら“英国最古の革靴ブランド”という話は切ったことがあるかもしれません。
しかし、トリッカーズの魅力はどれだけではないのです。魅力の溢れる逸話がたくさん。世界中の革靴ファンがトリッカーズを愛してやまない理由がこの記事を読むことでわかっていただけると思います。
トリッカーズの歴史について解説
それではまずはトリッカーズの歴史から。ブランドが創設された1829年からその歴史を順を追ってみていきます。
1829年:ジョゼフ・トリッカーズがトリッカー社を創業
今日も続く「トリッカーズ」という会社を作り上げたのは「ジョセフ・トリッカー」。1829年「トリッカーズ」は元々、紳士階級向けの靴を製造する会社として誕生しました。
ジョセフ・トリッカーの作る革靴は非常に丈夫で紳士階級の人々はもちろん、農場主などからも熱い支持を受けていたようです。
1840年:ウォルター・ジェームズ・バールトロップがブーツを試作
ジョセフ・トリッカーの養子であるウォルター・ジェームス・バールトップがこの年試作の防水ブーツを開発。わずか7歳の時だったというから驚きです。
このブーツが後にトリッカーズの定番となるカントリーブーツの原点になったのだとか。
1904年:ノーザンプトンのトリッカーズ工場が稼働を開始
イギリスのノーザンプトン、セントマイケルズ通り56-60番地にあるトリッカーズの工場が1904年に稼働を開始します。また、この頃に今では一般的な革靴作りの製法になっている「グッドイヤーウェルト製法」の機械がトリッカーズに導入されました。
1925年:ロンドンのジャーミンストリートに直営店オープン
1925年にはロンドンのジャーミンストリートに直営のショップをオープン。1939年には同じジャーミンストリートに移転し、その店舗は今でも営業を継続しています。「トリッカーズ」のファンとして一度は訪れてみたい場所です。
1926年:トリッカーズの定番カントリーブーツのデザインが完成
1926年には「トリッカーズ」を象徴するアイテムである「カントリーブーツ」のデザインが完成しました。
カントリーブーツは元々紳士階級の人々が休暇を田舎(カントリー)で過ごすために考案されたブーツ。
1989年:王室御用達の紋章「ロイヤルワラント」獲得
そして1989年には「トリッカーズ」がウェールズ公チャールズ殿下よりロイヤルワラントを獲得。
ロイヤルワラントとは英国王室御用達の印のことで、このことからもトリッカーズがいかにイギリスに深く根付いているブランドかわかると思います。
現代〜:「トリッカーズ」は英国の偉大な革靴ブランドとして大きな支持を受け続ける
「トリッカーズ」は英国最古の革靴ブランドとして、カントリーシューズに代表されるブローグシューズの長として、日本をはじめ世界中でファンに愛されています。
また、この後特長の部分でお話しますが、“特殊な作り方”も指示を受ける理由のひとつです。
トリッカーズの革靴の特徴について
歴史の次に、今度は「トリッカーズ」の革靴の特徴についてお話していきます。
現存するイギリス最古の革靴ブランドである
まず、イギリスで現存する最古の革靴ブランドであること。
ジョセフ・トリッカーが「トリッカーズ」が創業した1829年には、すでにノーザンプトンには1000を超える革靴ブランドがありました。
その中で「トリッカーズ」がここまでブランドが続き、愛されている。改めて考えてると本当に偉大なブランドだなと感じます。
英国王室御用達の証ロイヤルワラントを持つブランド
「トリッカーズ」はロイヤルワラントを持つブランドです。
ロイヤルワラントはただ与えられて終わりではなく、5年毎に厳格な審査の上更新が必要になります。それを維持し続けるのは「トリッカーズ」が高い技術を持つ証でしょう。
260以上の工程を1人の職人が行うベンチメイドを守り続ける
「トリッカーズ」の高い技術力。その源泉がベンチメイドを続けるブランドの姿勢と、それを支える職人たちです。
ベンチメイドとはひとつの革靴の工程全てを1人の職人が行う革靴作りの方法です。「トリッカーズ」の革靴を作る上で必要な260を超える工程を1人で行うのです。
“トリッカーズの革靴は硬くて履きにくい”は本当か
ネットでまことしやかにささやかれている「トリッカーズは革が硬くて歩きにくい」という話。これは本当でしょうか。
まず、確かに革は硬いですが、歩きにくいかといわれるとそうでもありません。最初は血が出る覚悟(リアルに)で覚悟を決めて買いましたが、そうでもなくてあっけらかんとしたのを覚えています。
ただし、カントリーブーツを履いた際に”くるぶしの上が擦れて痛い”というブーツでもなかなかない症状に出会いました。
最初の一足におすすめしたいトリッカーズの革靴たち
さて、ここからは筆者の独断と偏見で選ぶ最初の一足目におすすめしたいトリッカーズの革靴たちを紹介していきます。
全部で3足ご提案させていただきます。
Tricker’s(トリッカーズ):MALTON(モールトn) or STOW(ストウ)
「トリッカーズ」のイメージといったらこのカントリーブーツではないでしょうか。
「STOW(ストウ)=(MALTON(モールトン)」は靴全体に入った装飾が美しく、カーフレザーの質感も高い一足です。ソールについてはドレッシーなレザーソールと実用的なダイナイトソールから選ぶことが可能です。
”トリッカーズらしさ”という観点でいえば、でこのブーツに敵うものはないでしょう。とても所有感が満たされる一足だと思います。
Tricker’s(トリッカーズ):BOURTON(バートン)
カントリーブーツと同じカントリーシリーズより、短靴タイプの「BOURTON(バートン)」もおすすめさせていただきます。
バートンの優れる部分は季節によらずに履ける点。夏以外(筆者は夏でもガンガン愛用しますが)であれば快適に着用できるはずです。
靴下で遊ぶなど少しトリッキーな楽しみ方もできるでしょう。
Tricker’s(トリッカーズ):NORFOLK(ノーフォーク)
「トリッカーズ」といえばカントリーシリーズの革靴。しかし、ビジネスのシーンでは少し使いにくいですよね。そんな時におすすめしたいのがフルブローグシューズでありながらフォーマルな印象も併せ持った「NORFOLK(ノーフォーク)」。
普段使いもビジネスも活躍間違いなしの二刀流キャラでコストパフォーマンスの高い一足です。
「トリッカーズ」とは一体どんなブランドか?歴史や特徴を解説
今回は「トリッカーズ」が一体どんなブランドなのか、歴史と特徴についてお話ししてきました。
絶対に押さえておきたいポイントはコチラ!
- 1829年創業の英国最古の革靴ブランドである
- 英国王室御用達の証「ロイヤルワラント」を持つブランドである
- 今でも「ベンチメイド」を貫く稀有なブランドである
トリッカーズは私も大好きなブランドです。最初は多少履き口が硬いですが、慣れると最高の歩き心地になるツンデレな一足。
念願のTricker’s BOURTON(トリッカーズ バートン)。やっと手に入れました。筆者のにとっては2足目になるトリッカーズの革靴ですが、1足目に購入したMALON(=STOW)とはちょっとサイズ感が異なります。 […]