レッドウイングのサイズ選びですが、モデルごとのラスト(木型)を知ると非常にスムーズになります。
靴のサイズ感は基本的には製造する時に使うラストに依存します。モデルが違っても、ラストが同じであればサイズ感は同じ。
REDWING(レッドウイング)はラスト(=木型)で選ぼう
レッドウイングからは様々なタイプの靴が発売されています。そして、モデルは違っても、使用されているラスト(木型)が同じであることが多々あります。
ラストは靴作りで非常に大切で、このラストでサイズ感などが決まってくるのです。
ラスト(=木型)は靴の命
ラスト(LAST)は日本語では木型と呼ばれます。
諸説ありますが、靴の最終的な(=LAST)良し悪しを決める要因であるため、ラストと呼ばれているそうです。それだけ重要な要素であるということですね。
レッドウイングのラストを知るとサイズ選びが楽になる
このラストですが、1つのモデルにつきラストが用意されているわけではありません。傑作と呼ばれるラストの場合、いくつかのモデルにラストが使われているパターンもあります(例:BeckmanとIron langerは共に8番ラスト)。
レッドウイング ラストの種類について
今回はレッド・ウイング・オフィシャルサイトに乗っているの現行30型をラスト別に全て紹介していきます。
レッドウイング:8番ラスト
まずは8番ラストです。8番ラストは上の画像であげているBeckmanやIron Rangerなどどちらかというとキレイ目のワークブーツに使われていることが多いラストです。
名作ラストで非常に長い歴史を持ちます(現存するラストでは一番古いらしい)。一番ベーシックなラストと言ってもいいでしょう。
現行では11のモデルでこのラストが使われています。
レッドウイング:17番
MOONLOIDより
17番ラストが初めて登場したのは1982年。現行では9インチPecosブーツなどで使われているラストです。
レッドウイング:23番
レッドウイングの名作ブーツ、アイリッシュセッターなどに使われているのがこの23番ラストです。写真はIrish Setter 6″ Moc。このモデルも使われているのは23番ラストです。このラストも非常に長い歴史をもつラストです。
レッドウイング:50番
レッドウイングのエンジニアブーツで使われているのが50番ラスト。写真の11″ Engineer (Steel-Toe)もこの50番ラストが使われています。
レッドウイング:210番
FALCONより
Postman Oxfordを始め、レッドウイングの中ではドレスシューズに近いアイテムに使われていることが多いのが210番ラストです。現行モデルで使われているものは多くはないですが、細身のラストであるため美しいシューズがラインナップしています。
レッドウイング:326番
1983年にスーパーソール用に開発されたのが326番ラスト。写真はSuperSole 6″ Mocです。
レッドウイング:マンソン
SPEEDWAYより
マンソンはもともと歩兵部隊用のブーツ用に作られたラスト。現行モデルではMunson B-5 Chukkaに使われています。
レッドウイング:ミルワン
FLISCOより
ミルワンはアメリカ軍のオフィサーシューズに使われていたラストです。現行のモデルで使われているのはMil-1 Blucher Oxfordです。
足指部分の幅をしっかりととりつつ、爪先を伸ばすことで見た目と履きやすさも両立しています。
ラストでレッドウイングを種類分け
ここまで紹介した8つのラストを、使用されているモデル毎に分けました。同じラストのモデルであれば安心して購入することが可能です。
8番ラストのレッドウイング
モデル名 | ラスト | ソール | 製法 |
6″ Classic Round | 8番ラスト | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter 6″ Round | 8番ラスト | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter Chukka | 8番ラスト | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Iron Ranger | 8番ラスト | ブラック・ニトリルコルク | グッドイヤーウエルト |
Beckman | 8番ラスト | ベックマンソール | グッドイヤーウエルト |
Beckman Flatbox | 8番ラスト | グロコード・メダリオン | グッドイヤーウエルト |
Blacksmith | 8番ラスト | ビブラム・430ミニラグ | グッドイヤーウエルト |
1930s Sport Boot | 8番ラスト | グロコード・キングB | グッドイヤーウエルト |
1930s Sport Oxford | 8番ラスト | グロコード・キングB | グッドイヤーウエルト |
Wide Panel Lineman | 8番ラスト | ブラック・ニトリルコルク | グッドイヤーウエルト |
Foreman Oxford | 8番ラスト | ブラウン・ニトリルコルク | グッドイヤーウエルト |
8番ラストが使われているモデルは上記の11モデルです。順番にモデルを紹介しています。
REDWING:6″ Classic Round
レッドウイングが創業後初期から作っていた6インチ丈のラウンドトゥタイプのブーツを元に作られたのがこの6″ Classic Roundです。クッション性に優れるトラクショントレッドが使われており、非常に歩きやすいブーツです。
REDWING:Irish Setter 6″ Round
Irish Setter 6″ Roundは前に紹介した6″ Classic Roundと同じく、6インチ丈のラウンドトゥタイプのブーツを元に作られたモデルです。
現行モデルは1190年代当時に発売されていたモデルを再現すべく作られたモデルです。
REDWING:Irish Setter Chukka
アイリッシュセッターと呼ばれるモデルの中で比較的新しくラインナップに追加されたのがIrish Setter Chukkaです。その名の通り、チャッカブーツタイプのアイリッシュセッター。使われているラストがブーツ用のため、ゆとりのある履き心地が特徴です。
REDWING:Iron Ranger
元々は炭鉱で働く鉱夫達のために作られたのがIron Rangerです。足先をケガから守るために革を二枚重ねにしています。デザイン的なアクセントになっているのはもちろん、バイクに乗る方ならクラッチ操作なども安心です。
REDWING:Beckman
レッドウイングの創業者「チャールズ・ベックマン」の名前から付けられたのがBeckman。ドレス感のあるスタイリッシュな形と、Beckman専用の光沢のある革フェザーストーンが特徴です。
REDWING:Beckman Flatbox
Beckmanの「先芯(靴のつま先の形を維持するために入れる部材)」を取り除いたBeckman Flatbox。Beckmanとはまた違った経年変化が楽しめます。また、使われている革は「茶芯」を再現したクロンダイクと呼ばれる革。エイジングが楽しみな一足です。
REDWING:Blacksmith
Blacksmithは「鍛治職人」の意味。過酷な鍛治職人の仕事にも対応できるように、タフな作りになっています。農場や作業上で使われていた古い時代のブーツを元ネタとしています。
REDWING:1930s Sport Boot
1930s Sport Bootはレッドウイングがモックトゥを採用した、1920年代のアウトドアブーツを参考に開発されたモデルです。革が柔らかく履き馴染みがいいことが特徴です。
REDWING:1930s Sport Oxford
1930年から約20年ほど発売されていたSport Oxfordを再現したのが1930s Sport Oxfordです。当時は現在のスニーカーのように使われていたようで、その名残が軽快な履き心地に残っています。
REDWING:Wide Panel Lineman
ラインマンとは電線工のこと。作業の安全性を高めるために、つま先近くまでシューレースが続いており足をしっかりとフィットできるようになっています。
REDWING:Foreman Oxford
フォアマンとは「工場長」や「現場監督」のこと。そうした人々向けに作られたのが、ブーツのラストを使いゆったりした履き心地で頑丈なソール・アッパーを持つForeman Oxfordでした。
17番ラストのレッドウイング
モデル名 | ラスト | ソール | 製法 |
9″ Pecos | 17番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter 9″ Pecos | 17番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
17番ラストが使われているのは上記の2モデル。順番にモデルを紹介していきます。
REDWING:9″ Pecos
Pecosはレッドウイングの作ったウエスタンブーツタイプのワークブーツ。9″ Pecosはその9インチモデルです。
REDWING:Irish Setter 9″ Pecos
23番ラストのレッドウイング
モデル名 | ラスト | ソール | 製法 |
6″ Classic Moc | 23番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter 6″ Moc | 23番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter 6″ Moc / Vibram Lug Sole | 23番 | ビブラム・ラグユニット | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Sawmill | 23番 | ビブラム・134ラグ・TC-4プラス | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
8″ Classic Moc | 23番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Classic Oxford | 23番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Irish Setter Oxford | 23番 | トラクショントレッド | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
23番ラストが使われているのは上記の7モデル。順番にモデルを紹介していきます。
REDWING:6″ Classic Moc
6″ Classic Mocは日本でレッドウイングを代表するモデルになっているブーツです。モックトゥの持つ歩きやすさ、そしてトラクショントレッド・ソールの歩きやすさ。堅牢性なども合わさって非常に人気のあるモデルになっています。
REDWING:Irish Setter 6″ Moc
2000年頃、レッドウイング社の方針でアイリッシュセッターの名前は姿を消します。日本市場ではこれを悲しむ声が多く、1950年代後半〜1960年代頭にかけて使用されていた「アイリッシュセッター・タグ」やREDWINGの刻印などを使ったモデルが発売されます。それがこのIrish Setter 6″ Mocなのです。
REDWING:Irish Setter 6″ Moc / Vibram Lug Sole
Irish Setter 6″ Mocのソールを変更し、Vibram Lug Soleにしたモデルです。登場は1950年代で、当時のアウトドアブームに合わせて機能性を高めたブーツがIrish Setter 6″ Moc / Vibram Lug Soleです。
REDWING:Sawmill
レッドウイングの本社があるミネソタ州の厳しい冬に耐えるために作られたのがSawmill。耐水性・暖かさ・履き心地を高い次元で備えたブーツです。
靴内部にライニングがつくため、サイズ感を0.5~1センチあげるのが推奨されているブーツでもあります。
REDWING:8″ Classic Moc
発売直後からハンターや労働者からも大きな支持を得たのがこの8″ Classic Mocです。疲れにくく、建築現場でも梯子や梁の上、や木材の上でも歩きやすく快適。靴底近くに縫い目を避けたデザインで、泥や水の浸入を防ぐために履き口までベロが縫い付けられています。労働の現場でも実用性と履きやすさが評価されたのです。
REDWING:Classic Oxford
1980年代半ばに日本市場向けに開発されたモデルを参考に発売されたのがClassic Oxfordです。当時の日本ではもともとワーグブーツだったレッド・ウィングを、若者がファッションアイテムとして街中で履き始めていました。6インチのモックトゥのブーツが中でも人気で、アメリカでは違ったソールを付けられていたオックスフォードを日本向けのローカット版として作られたのがこのモデルの始まりでした。
REDWING:Irish Setter Oxford
1954年、いまのレッド・ウィングを代表する6インチブーツなどが発売されたとき、同時に発売されたものがオックスフォード(短靴)タイプのアイリッシュセッター・オックスフォードでした。その後約10年間アメリカで販売されていたIrish Setter Oxfordを復刻したのがこのモデルです。
50番ラストのレッドウイング
モデル名 | ラスト | ソール | 製法 |
9″ Logger (Steel-Toe) | 50番 | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト | ビブラム・ロガーユニット |
11″ Engineer (Steel-Toe) | 50番 | グッドイヤーウエルト | ブラック・ネオプレーンコード |
11″ Engineer (Steel-Toe) “Stovepipe” | 50番 | グッドイヤーウエルト | ブラック・ネオプレーンコード |
50番ラストが使われているのは上記の3モデル。順番にモデルを紹介していきます。
REDWING:9″ Logger (Steel-Toe)
9″Logger(steel-Toe)はトゥに金属が入ったハイカットブーツ。Loggerとは山で過酷な仕事に従事する男たちのこと。
過酷な仕事にも耐えられるよう、肉厚なレザーでふくらはぎまで覆われています。元ネタは1940年にレッドウイングが発売したロガーブーツ。湾曲ヒールや大型のカウンターポケットなどしっかりと受け継がれています。
REDWING:11″ Engineer (Steel-Toe)
11″ Engineer (Steel-Toe)エンジニアブーツが登場した1930年代、定番は膝下丈のものだったそうです。その後、1950年代になると11インチ程度のものがトレンドになります。このトレンドば現代まで受け継がれており、この11″ Engineer (Steel-Toe)はロングセラーブーツとして愛されています。
REDWING:11″ Engineer (Steel-Toe) “Stovepipe”
11″ Engineer (Steel-Toe) “Stovepipe”は茶芯タイプのエンジニアブーツ。履き込むうちに傷が入ると、黒いレザーの下の茶色の芯地が見えてきます。
よりエイジングが楽しめるエンジニアブーツに仕上がっています。
210番ラストのレッドウイング
モデル名 | ラスト | ソール | 製法 |
Postman Oxford | 210番 | ブラック・クッションクレープ | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Postman Oxford / GORE-TEX | 210番 | ブラック・クッションクレープ | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Postman Chukka | 210番 | ブラック・クッションクレープ | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
Caverly Chukka | 210番 | グロコード・メダリオン | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
210番ラストが使われているのは上記の4モデル。順番にモデルを紹介していきます。
REDWING:Postman Oxford
Postman Oxfordはサービスシューズタイプのレッドウイングです。サービスシューズとは、軍人や警察官、郵便局員など制服を着て働く公務員用の靴のこと。1954年に発売され、全米の郵便局員が履いていたことからポストマンシューズの愛称がつきました。
REDWING:Postman Oxford / GORE-TEX
Postman Oxford / GORE-TEXはポストマンシューズの見た目はそのままに、GORE-TEXの防水性と透湿性を獲得したシューズです。
REDWING:Postman Chukka
Postman Chukkaの原型は1958年に発売されたレッドウイングのモデル。チャッカブーツとすることでポストマンシューズよりも雨やホコリに強くなりました。
REDWING:Caverly Chukka
Caverly Chukkaは、レッドウィングの創業当初に存在したチャッカブーツをリメイクした一足です。
創業翌年の1906年のレッドウイング社のカタログで既に元ネタとなるブーツは存在しており、非常にクラシカルなブーツだということができます。
326番ラストのレッドウイング(SuperSole6″Moc)
326番のラストはSuperSole用に作られた特注品。スーパーソールとはレッドウイングが1970年代に特許を取得した靴の製法。
非常に頑丈なこの製法を、同社のモックトゥに合わせたのがこのSuperSole 6″ Mocです。
マンソンラストのレッドウイング(Munson B-5 Chukka)
ミリタリーウェアブランド、ナイジェルケーボンとレッドウイング社のコラボで生まれたのがこのMunson B-5 Chukkaです。
元ネタは英国軍のB-5ブーツ。黒のワックスバーを使ってバフがけを行うことでユーズド感のある独特な表情の靴に仕上がっています。
ミルワンラストのレッドウイング(Mil-1 Blucher Oxford)
Mil-1 Blucher OxfordはレッドウイングのOxfordを元に、米軍のオフィサーシューズ用に開発されたラスト「Mil-1ラスト」を使って作られた革靴です。
ラストを知ればレッドウイングのサイズは選びは怖くない
ラストについて知ってしまえば、レッドウイングのサイズ選びは簡単!
欲しいと思ったレッドウイングもラストが同じモデルさえ持っていれば、同じサイズ感のものを安心して購入することができます。
ライナーが入っているレッドウイングの場合など、多少の例外はありますが、グッとレッドウイングが買いやすくなったはずです。