今回トピックに上げたいのは「靴クリーム」です。革靴のメンテナンスに必須のアイテム靴クリーム。
いろいろなブランド・種類の「靴クリーム」が販売されていますが、一体その違いはなんなのか。実際に使って試して比較することでそれぞれどんな違いがあるのか検証してみたいと思います。
靴クリームっていろいろ、でも何が違うの?
革靴に栄養を補給したり、補色の役目もあったりとメンテナンスでは欠かせない「靴クリーム」。革靴好きであれば必ずひとつは持っているアイテムでしょう。
エム・モゥブレイにコロンブス、サフィールなどいろいろなメーカーから「靴クリーム」は案配されていますし、ブランドまで入れると数えるキリがないほど。
でも、その違いって一体どこに現れるのでしょう。
今回は実際に「靴クリーム」をいくつか用意してみたので、そのクリームを比較して使い心地を試してみました。
4つの革靴用クリームを比較!違いを検証してみる
今回筆者が用意したのは4種類の「靴クリーム」です。
メーカーは『M.MOWBRAY』『COLUMBUS』『SAPHIR』の3メーカーとしました。日本でも特にポピュラーな革靴用品のメーカーでしょう。
このうち、『SAPHIR』のみ「靴クリーム」を2種類用意しました。
順番に今回用意した靴クリームをみていきましょう。
靴クリーム①:M.MOWBRAY シュークリーム
ブランド | M.MOWBRAY |
商品名 | シュークリームジャー |
容量 | 50ml |
カラー | 60色 |
値段 | 990円 |
1mlあたりの値段 | 約19.8円 |
靴クリーム②:Boot Black シュークリーム
ブランド | COLUMBUS Boot Black |
商品名 | 靴クリーム |
容量 | 55nl |
カラー | 38色 |
値段 | 1,320円 |
1mlあたりの値段 | 約24円 |
靴クリーム③:SAPHIR シュークリーム
ブランド | SAPHIR |
商品名 | ビーズワックスファインクリーム |
容量 | 50ml |
カラー | 約80色 |
値段 | 1,100円 |
1mlあたりの値段 | 約22円 |
靴クリーム④:SAPHIR シュークリーム
ブランド | SAPHIR Noir |
商品名 | クレム1925 |
容量 | 75ml |
カラー | 18色 |
値段 | 2,420円 |
1mlあたりの値段 | 約32.27円 |
靴クリームの色味と伸びを比較
まずは靴クリームの色味と伸びを比較してみたいと思います。
検証方法ですが、シンプルに白い画用紙に各靴クリームを取り出し伸ばしてみることにしました。
靴クリームの色味と伸びの比較結果
こちらが今回比較する4種類の「靴クリーム」を画像紙に取り、伸ばした状態です。
正直、靴クリームの違いなんてよくわかっていなかった筆者。そもそも比較する機会なんてないので仕方ないのですが、画用紙に伸ばしてみると“「靴クリーム」個々の伸び”にしっかりと個性があることがわかりました。
「エム・モゥブレイ」の結果
「ブートブラック」の結果
まず、『エム・モゥブレイ』はもっちり派。『サフィール』はサラサラ派です。その中間が『ブートブラック』という感じでしょうか。
「サフィール」の結果
「サフィールノワール」の結果
これまで筆者は『ブートブラック』を好んで使っていましたが、こうやって比べてみると『サフィール』のサラサラ感が気に入りました。
SAPHIRの靴クリームが“よく伸びる印象”
今回、『サフィール』からは通常ラインと高級ラインの『サフィールノワール クレム1925』を選びました。この2つの「靴クリーム」に共通していえるのは“とにかくよく伸びる”こと。
メジャーな3社の「靴クリーム」を今回は持ち出しましたが、伸びでいえば『サフィール』がダントツ。
『サフィール』と『サフィールノワール クレム1925』どちらも気持ちいくらいの伸び具合で違いはあまりなさそう。しかし、油分量に大きな違いが理想です。
どの靴クリームが最も革靴の光沢を引き出すか
次に、どの「靴クリーム」が最も革靴の光沢感を引き出してくれるのか、実際に革靴にクリームを塗って違いをみていきます。
しかし、ちょうどよく比較に使える革質の近い革靴がたくさんあるわけが・・・
また、同じガラスレザー素材のG.H.BASS LOGANがありましたので、ドクターマーチンとこれを合わせた4足を比較に用います。
革靴の光沢感の検証方法
革質は同じでも、それぞれ汚れ具合が異なるので、一度ブラッシングと汚れ落とし効果のあるレザーローションを塗っておきます。
「汚れ落とし」「保革」「ツヤ出し」効果のあるローションです。簡単なメンテナンスはこれ一本。各社から出ているので一本持っておくとメンテナンスが楽になります。
その上で、「靴クリーム」を塗っていきます。
- ペネトレイトブラシで「靴クリーム」を塗る
- ブラッシング
- フランネル生地で磨き上げる
- サイドブラッシングでツヤを出す
靴クリーム光沢感の比較結果
まず、こちらが「靴クリーム」を使う前の状態です。元々の光沢感が強い4足なので、この状態でもそこそこ光っています。
そして、こちらが4つの「靴クリーム」を使って革靴の光沢を出してみた結果。こうしてみてみると、光沢感にも少し質感の違いがあるように見えます。
どの革靴も「靴クリーム」を使う前より光沢感が出ていますが、特に「サフィール・ノワール クレム 1925」の輝きは別格でした。
“クレム1925”最高級靴クリームの名は伊達じゃない
「クレム1925」ですが、異常な輝きを発揮しました。先の“紙に伸ばしてみた”際にも他のクリームとは異なるポテンシャル(非常によく伸びて、油分の配合量が多い)を見せましたが、最高級クリームの名に恥じない質だと思います。
ただ、普通の『サフィール』と比べて2倍以上の価格差がありますが、その差をしっかりと実感できたかといわれると正直なんともいえない自分がいます。確かに最も伸びが良く光沢が出たクリームではあるのですが、こうして比較したことでそのポテンシャルをしっかり把握できたと思います。
他の「靴クリーム」でもしっかりと革靴の光沢が出たのは確か。革靴は光沢が出ればいいというものではなく、ギラギラではなく適度な光沢が求められる場合もあります。味のある深い光沢という意味では『ブートブラック』も捨てがたいですし、『エム・モゥブレイ』のライトな質感もビジネスカジュアルなど適度なヌケ感が必要な際には必要な気がします。
【比較結果】靴クリームによって一体何が違うのか?
今回「靴クリーム」の比較を行なってみて筆者がどんな違いを感じたかお話ししてみたいと思います。
靴クリームの伸びには大きな違いがあった
まず、「靴クリーム」の伸びには大きな違いを感じました。最初に紙に「靴クリーム」をそれぞれ伸ばしてみましたが、その際に感じた伸びの良さはそのまま革靴のメンテナンスで感じた伸び感に直結しました。
特に「サフィール」の2つの「靴クリーム」の伸びはよく、少ないクリームで靴全体を塗ることができたので革靴の靴磨きの時短にも繋がると感じました。
靴クリームによって光沢の出方にも違いがあった
「靴クリーム」によって光沢の出方にも違いが見られました。最もわかりやすく光沢が出たのが『サフィール・ノワール クレム1925』でした。一方で、奥から光が鈍く光るような渋い光り方をするのが『ブートブラック』。全体的にフラットでイヤミのない光り方をするのが『エム・モゥブレイ』といったところでしょうか。
こればっかりは好みの問題なので甲乙つけがたいですが、革靴を愛用する中で靴クリームを変えてみるのがしっかりと意味のあるものだと再確認できました。
普通の靴クリームと最高級靴クリームの違いはなに?
今回は比較の中で『サフィール』の「靴クリーム」と、その高級バージョンである『サフィール・ノワール クレム1925』を使ってみました。
比較ということで違いを探ろうと、しっかり意識して使ったことで『サフィール・ノワール クレム1925』の方が光沢が強いと感じることができました。しかし、普段何気無くメンテナンスしている中でその違いに気づけたかは微妙です。
確かに、『サフィール・ノワール クレム1925』は今回使用したクリームの中で最もポテンシャルの高いクリームだと感じました。しかし、それよりも、たとえただの『サフィール』の「靴クリーム」でも小まめに革靴のメンテナンスを行なってあげた方が良いのはいうまでもありません。
まとめ:【何が違う?】いろいろな靴クリームを実際に使って試して比べてみた結果
今回は色々な靴クリームを実際に使ってメンテナンスに使うことでその違いをまとめてみました。結果、「靴クリーム」によって使い心地や光沢感の出方が確かに異なることがわかりました。
その一方靴クリームの値段的な違いも確かに感じることはできましたが、実際に普段使いするとなると気にならない範囲の違いなのかなというのが本音です。
ただブランドによっての光沢感の違いは間違いなく面白いので、ブランド違いでいくつか同色の「靴クリーム」を用意して遊んでみるのは面白そうです。