こんにちは、ブロガーのあかパンダ(@akapandablog)です。
今回は革靴の製法についての解説。
革靴は製法によって全てがガラッと変わるんです。
主要な革靴の製法7つを取り上げて、それぞれの特徴を解説していきます。
革靴は製法によって何が変わるか
靴の製法で何が変わるか、答えば“全部”です。
見た目はもちろん、履き心地や値段に始まり耐久性・修理がの可否など、革靴の多くの要素は製法によって決まります。
製法によって、どんな使い方に向いているのかも変わってきます。
主要な革靴の製法7種類を解説
- ハンドソーンウェルテッド製法
- グッドイヤーウェルテッド製法
- ノルウィージャンウェルテッド製法
- ブラックラピト製法
- マッケイ製法
- ステッチダウン製法
- セメンテッド製法
製法についてイラストと文章で解説した後、実際にその製法で作られている革靴も合わせて紹介します。
ハンドソーンウェルテッド製法
革靴には『〜ウェルテッド製法』という名前の製法が存在します。
そもそも『ウェルテッド製法』とは、革靴のコバ部分にウェルトを使ってアッパー・ソールを縫い合わせる製法のこと。
究極の「ウェルテッド製法」で、値段も高いですが履き馴染みがよく非常に丈夫という特徴があります。
ウェルテッド製法はアッパーとソールを直接縫い合わせることがないため、水が直接靴の内部に新入することがありません。
油断は禁物ですが、雨に比較的強い製法といえるでしょう。
また、もちろんソールの交換も可能です。
- 最初から履き馴染みがよい
- 丈夫でソール交換も可能=長く履ける
- 雨には比較的強い
- 値段が高い
▲Jalan Sriwijayaの革靴
ハンドソーンウェルテッドを用いながらも、3万円台という驚きの価格を実現しているのがJalan Sriwijaya(ジャランスリウァヤ)です。最近ではユナイテッドアローズなどでも取り扱いがあるようです。
グッドイヤーウェルテッド製法
現代紳士靴の王道と呼べるのがこの「グッドイヤーウェルテッド製法」。
ハンドソーンとの大きな違いは、製造工程のなかで機械の力を借りるようになったこと。
これによって高価な「ウェルテッド製法」の革靴が安く手に入るようになりました。
中物にはコルクが使われることが多く、厚いため最初は少し硬い履き心地です。
しかし、履き込むとコルクが足の形に合わせて変形し、非常に履き心地がよくなるのが特徴。
- ハンドソーンと比べると安価である
- 最初の履き心地は硬め、しかし徐々に足の形にフィットする
- 堅牢でソール交換もできるため長く履ける
- 雨には比較的強い
▲REGALの革靴
日本が誇る革靴ブランドREGAL(リーガル)が得意とするのがグッドイヤーウェルト製法。写真の2504は1969年から定番として発売されている特に人気の一足。
ノルウィージャンウェルテッド製法
「ノルウィージャンウェルテッド」もウェルトで間接的にアッパーとソールを縫い付ける「ウェルト製法」の1種。
特徴は、L字のウェルトでアッパーとソールを縫い合わせている点。
- 外観に特徴があり一目で「ノルウィージャンウェルト製法」とわかる
- 丈夫でありながら、履きやすい
- 防水性も高い
- ソール交換もできる
- 値段は少し高め
▲Parabootの革靴
ノルウィージャン製法を牽引しているブランドがParaboot(パラブーツ)。特に写真の「シャンボード」は日本でも人気のモデル。
ブラックラピト製法
「ミッドソール」が「ウェルト」の代わりをしている製法が「ブラックラピト製法」。
インソール・ライニング・アッパー・ミッドソールを縫い合わせ、ミッドソールをアウトソールをコバで縫い合わせる製法です。
厚いミッドソールが入るので重いですが、屈曲性が良いため歩きやすいという特徴も。
一方、中物が薄いためクッション性に関してはイマイチです。
- ソールの交換が可能
- 屈曲性は良いため、歩きやすい
- 雨にも比較的強い
- 重い
- クッション性はイマイチ
▲MR.OLIVEの革靴
MR.OLIVE(ミスターオリーブ)の革靴です。中物に厚いコルクを使うことでクッション性の悪さを補ったモデル。
マッケイ製法
アッパー・ライニング・インソール・アウトソールをまとめて縫い合わせるのが「マッケイ製法」。
コバにステッチが見られない製法です。
アウトソールからインソールまで縫い目が貫通しているので、水が染みやすいというデメリットも。
厚い中物を入れることが難しいので、クッション性は低いです。
- 軽く返りがよいため、歩きやすい
- ソール交換は2〜3回程度は可能
- 水が染み込みやすい
- クッション性は低い
▲MODELLOの革靴
madras(マドラス)のセカンドラインであるMODELLO(モデロ)の革靴。マッケイ製法の特徴であるスッキリしたこばが特徴の一足。
ステッチダウン製法
アッパー・インソール・アウトソールを全てコバの部分で縫い合わせる製法です。
ライニングがない靴が多く、アッパーの切り口がコバの部分に見えるのがこの製法の特徴です。
シンプルな構造であるため、軽く屈曲性もよい製法です。
デザートブーツなどにも用いられる製法で、堅牢性もあり防水性も高いのが特徴。
ソール交換も行うことが可能です。
- 軽く屈曲性もいいため歩きやすい
- 堅牢性もあり、防水性も高い
- ソール交換が可能
- クッション性はイマイチ
▲Clarksの革靴
Clarks(クラークス)のデザートブーツ。履きやすく堅牢で機能性が高いため、ブーツにはぴったり。
セメンテッド製法
これまで紹介してきた製法とは異なり、糸を使わないのが「セメンテッド」製法の特徴。
糸の代わりに、ライニング・アッパー・インソール・アウトソールを接着剤で固定しています。
糸を使わないため、軽くて屈曲性のよい革靴に仕上がります。
また、縫い目が存在しないため防水性の高い製法。
糸を使っていないため、ソールの交換はできません。
- 安価である
- 軽く、屈曲性がよい
- 防水性も高い
- ソールの交換はできない