今回はバイクのプロテクターについてのお話です。誤解を恐れずにいえば、私はバイクに乗るときにプロテクターを付けたくないです。
理由は簡単で、シルエットがやぼったくなってダサいから。
プロテクターがダサい以上にバイクの事故が恐ろしいからです。
では、しっかりと身体を守りながらダサく見えないプロテクターがないかというと、実はあります。それがインナープロテクター。
今回は各社から発売されているインナープロテクターについて比較を行いながら、どんな特徴があるのかみていこうと思います。
バイクでおしゃれと安全性を両立するにはインナープロテクターが最適
格好いいバイクに乗る時には格好いい服装をしたいものです。
ツーリングならいいですが、例えば移動手段としてバイクを使ったりカフェツーリングのようなおしゃれな場所にバイクで立ち寄る際には格好が気になってしまいます。
というのも、バイク用のウェアは安全性を高めるために各所にプロテクターが入っているから。背中や肩、肘などが出っぱってお世辞にもおしゃれとはいえません。
バイクのインナープロテクターってこんなもの
NAPSより
まず、“インナー”という名前の通り、服の下に着込むことを想定して作られているんです。
なので、
- 薄く邪魔にならない
- 脱ぎ着しやすい
- 伸縮性のある素材で作られている
- 快適素材が使われている
以上のような特徴があります。
“バイクから降りた後に脱いでバッグに入れる”、そしてまた“バイクに乗る時に着込む”のような使い方ができるので便利です。乗っている時もあまりプロテクターが目立ちませんし、降りたら脱げばいいのですからおしゃれを思う存分楽しめます。私のように服が好きな人間からすれば最高のアイテムです。
バイク用インナープロテクターの安全性はどうなのか
KOMINEより
インナープロテクターは服の中に着込むので、プロテクターはあまり厚手のものを使用していません。
無論本格的なプロテクターの方が安全性は高いでしょうが、インナープロテクターだって頑張っています。
プロテクターの安全規格に“CE”というものがあります。詳しい説明は割愛しますが、Level1とLevel2に分かれており(Level2の方が吸収力が高い)、衝撃の吸収性能に合わせて分類されます。
インナープロテクターの中にもこのCE規格をを満たしているものがあります。
衝撃の吸収性能が高くても着用感が悪く操作性が損なわれたのでは逆に事故の遭遇確率が高くなってしまいます。
では、ここからはインナープロテクターを発売しているウェアメーカー各社の製品を見比べていきたいと思います。似たような製品に見えて各社で個性があったりします。
ぜひ、自分に合うのはどのインナープロテクターなのか考えながらご覧ください。
KOMINEのインナープロテクター
KOMINEより
まずはKOMINEのインナープロテクターです。
KOMINEのバイクウェアの特徴として、安全性能について非常に深く考えられていることが挙げられます。
胸部のプロテクターや脊髄プロテクターは他社の場合別売りになっていることも多いです。しかし、KOMINEの場合、全製品に最初から全てのプロテクターが標準搭載されています。さらに他のメーカーと比べると非常に安価なんです。
KOMINE:アーマードトップインナーウエア
こちらがKOMINEのバイク用インナープロテクター「アーマードトップインナーウェア」です。
肩・肘・胸・脊椎にプロテクターを搭載していて、CE規格に適合しています。素材は伸縮性と吸汗性に優れ他素材が使われていて快適性にも配慮されているようです。
胸のプロテクターはセパレート式。ジッパーで簡単に脱ぎ着できるようになっていますが、手元を見てみるとズレの防止と袖口への風の侵入を防ぐサムホールも。
KOMINEのインナープロテクターがおすすめなのはこんな人
KOMINEのアーマードトップインナーウェアですが、インナーウェアでありながら十分な安全性能を持っていると思います。ただ、各部のプロテクターは安全性能を高めた分厚くなってしまっています。
なので、このプロテクターをおすすめしたいのは普段着でバイクに乗りたいけど安全性も絶対に妥協したくないという人です。プロテクタージャケット並みとはいいませんが安心してバイクに乗れるはずですよ。
ただし、プロテクターが大きいのでたいとな服の場合には中に着込むのが難しいかもしれませんので注意が必要です。
RS TAICHIのインナープロテクター
続いてはRS TAICHIのインナープロテクターです。RS TAICHIは日本のライディングウェアのブランド。国産ブランドの大手メーカーの中では一番ファッション性に力を入れているなと感じます。
値段は若干高めですが、デザインが秀逸なものも多いです。いかにもバイク乗りというようなものから、街に溶け込めそうなものまで色々とラインアップしている心強いブランド。
そんなRS TAICHIから発売されているインナープロテクターですが、他社と比較するとちょっと変わったものになっていました。
RS TAICHI:プロテクション メッシュベスト
RS TAICHIのインナプロテクター「プロテクション メッシュベスト」です。
このインナープロテクターの面白いところは、胸と脊髄部分を守るよう割り切った作りになっているところ。
と、いうのもバイク事故の致命傷部位は1位こそ頭部ですが、2位は胸部なんです(都内・全国の交通事故死者数構成率(2022)より)。
このプロテクションベストはメッシュ素材でフードも取り外せるのでインナーとして着込むこともでき、薄着になる夏の時期はアウターベストとして活用できます。割り切った作りですが、理にかなっているアイテムだと思いました。
RS TAICHのインナープロテクターがおすすめなのはこんな人
RS TAICHIのプロテクション メッシュベストをおすすめできるのは、必要なものと必要でないものを取捨選択できる人です。
メッシュベスト形式のインナープロテクターは最低限必要な部位をプロテクトできますし、肩の可動域などを邪魔しないのでバイクの運転もしやすいでしょう。そういう意味では事故のリスクを減らしているともいえます。
RS TAICHIからは服の下につけることができるエルボープロテクターなども発売されています。そういったアイテムと組み合わせながらカスタマイズして使うのがおすすめかと思います。
DAYTONAのインナープロテクター
DAYTONAより
バイク用品メーカーDAYTONA。ウェアやブーツバッグを展開するサブブランドがHenry Beginsです。
コンセプトとしてはKOMINEに近い印象です。安価でありながら性能は高い。そしてHenry Beginsはシンプルなアイテムが多いように思います。
DAYTONA、Henry Beginsのインナープロテクターを見ていきましょう。
DAYTONA:HPPE耐切創インナープロテクター
DAYTONAのインナープロテクター「HPPE耐切創インナープロテクター」です。
名前に対切創とある通り、摩耗に強い特殊生地「HPPEマテリアル」を腕と背中(灰色の部分)に使用しています。ただ、この素材にはあまり伸縮性はないようでこれ以外の部分を伸縮性に優れた素材でカバーしています。これだけでも面白いですが、さらに面白いのがプロテクターの素材なんです。
プロテクターに使われている素材はソフトなものなので着用時あまり操作性に影響を与えません。しかし、プロテクターに衝撃が加わった瞬間に硬化しライダーの体を守るのです。プロテクターがソフトということは服の下に着込んでもあまり目立たないということ。これも嬉しいポイントです。
DAYTONAのインナープロテクターがおすすめなのはこんな人
インナープロテクターに使われている素材がソフト素材なので、インナーとして使っている際にプロテクターを目立たせたくないという方には非常におすすめです。
通常、インナープロテクターの見た目と安全性はトレードオフの関係です。しかし、DAYTONAのインナープロテクターはこれを新しい技術を取り入れることによって高次元で両立しています。
インナープロテクターの選択基準が“目立たないこと”な人にはとてもおすすめできると思います。
番外編:インナープロテクターでもっと安全性を高める方法
ここまで上半身のインナープロテクターを紹介してきました。
事故で死亡の原因になるのは頭部や胸部ですが、ちょっとした転倒などで怪我をしやすいのが足周り。バイクと地面の間に足を挟め、怪我につながるのです。
実際に私も立ち転けを経験したことがあり、バイクブーツを履いていたので足首は無事でしたが膝を擦りむいた経験があります。
現在ではパンツの下に付けても目立たない膝のプロテクターが販売されていますので、インナープロテクターに合わせて使うとより安全にバイクが楽しめるでしょう。
おすすめは着脱が楽でパンツの下に付けても目立たないRS TAICHIのもの。ソフト素材なので“ステルス CE ニーガード”の名前の通り着用しても目立ちません。
まとめ:私服に合わせられる各社のバイク用インナープロテクターを比較してみた
今回は私服に合わせることができるインナープロテクターについて、代表的な3社のものを比較してきました。
一社ずつ見ているとなかなか気づきませんが、比較してみると各社の特徴がわかるもの。
「格好良くバイクに乗りたい」と「安全にバイクに乗りたい」はなかなか両立は難しいでしょう。しかし、できればプロテクターを諦めるのではなく最低限の安全対策を講じた上でバイクを楽しんでほしいと思います。バイクに乗れなくなってしまっては何の意味もありませんから。