Church’s(チャーチ)とは?どんな革靴ブランドか、歴史や定番アイテムを解説

高級靴ブランドとして知られる「Church’s(チャーチ)」。あなたは「チャーチ」についてどんなことをご存知だろうか?

名前はよく聞くけれど、「チャーチ」が一体どんなブランドなのか知っている人は意外と少ない。

 

今回は「チャーチ」についてどんな革靴ブランドなのか解説。歴史やブランドの特徴、定番アイテムに至るまで徹底的に記事にまとめていく。

 

 

目次

Church’s(チャーチ)とは一体どんな革靴ブランドなのか

https://www.british-made.jp/より

「Church’s(チャーチ)」とはどんなブランドなんだろう?革靴が好きなら、きっと一度くらいその名前を聞いたことがあるはずだ。ファッション好きな方なら、セレクトショップの店頭に並んでいるのを見たことがあるかもしれない。

 

https://www.british-made.jp/より

しかし、それ以外の情報はどうだろう?

革靴といえばイギリスということで、創業国くらいは答えられても、それ以外のことを知っているというのは少数派だろう。

そこで、この記事では「チャーチ」の歴史や特徴、定番アイテムについて徹底的に、しかし簡潔にまとめていこうと思う。

 

 

Church’s(チャーチ)の歴史

https://www.pradagroup.com/より

ブランド名

Church’s(チャーチ)

創業年 1873年
創業国 イギリス
HP https://www.church-footwear.com/jp/ja.html
SNS Instagram

 

それでは、「チャーチ」の歴史についてご紹介していこう。創業は1873年のイギリス。しかし、チャーチの歴史自体はそれ以前まで遡ることができる。

 

 

1873年:Church’s(チャーチ)が正式に創業される

https://www.pradagroup.com/より

「チャーチ」が“正式に”創業したのは1873年5月1日のこと。創業者「トーマス・チャーチ」で革靴の聖地、イギリス ノーザンプトンでのことだった。現存するイギリス最古の革靴ブランドとして有名な「トリッカーズ」の創業が1829年であること考えると、その歴史には及ばないものの長い歴史を持つ革靴ブランドであることがわかる。

 

ここで注意点が。1873年というのはあくまで「チャーチ」が“正式に”創業した年だということ。「チャーチ」の歴史自体は創業者「トーマス・チャーチ」の時代からさらに遡り、1617年「アンソニー・チャーチ」の時代にまで遡ることができる。

 

 

Church’s(チャーチ)の創始者「Anthony Church」

https://www.pradagroup.com/より

「チャーチ」の歴史の始まりは1617年、「アンソニー・チャーチ」の時代。彼は中世から革靴の町として栄えてきたイギリス ノーザンプトンに工房を構えていた。

 

靴職人の名匠として名を馳せた彼の技術や誇りは子孫へと受け継がれた。そして約2世紀後、1873年に「トーマス・チャーチ」が今世界で知られる高級革靴ブランド「チャーチ」を創業するに至ったのだ。

 

 

1880年:Church’s(チャーチ)が工房を移転する

1873年にイギリス ノーザンプトンで創業した「チャーチ」。創業当初は“メイプルストリート30番地”に工房を開いていた。妻であるエリザと2人の息子(アルフレッドとウィリアム)とともに4人でのスタートであった。

しかし、その後1880年には同じノーザンプトンの“デュークストリート”の広い敷地に工房を移すことになる。この大躍進には、とある画期的な革靴の誕生が関わっている。

 

 

1881年:Church’s(チャーチ)の「Adapted」ブーツが博覧会で金賞を受賞

1881年、「チャーチ」のブーツが革靴の博覧会で金賞を受賞した。受賞したブーツは“「Adapted」ブーツ”と呼ばれるもの。これは当時、非常に画期的なものだった。

Adapted=「適応した」。adapted の変化形adapt , adapts , adapting

 

この“「Adapted」ブーツ”だが、現代の私たちは必ず目にしている。現在我々が履いている革靴は、この“「Adapted」ブーツ”の概念の上に造られているからだ。

 

Wikipediaより、1755年のヨーロッパを描いた絵。当時靴に左右の概念はなかった

この“「Adapted」ブーツ”が誕生する前、驚くべきことに革靴には左右の概念がなかった。左右対称な形をしていた革靴を、右足・左足の形に合わせて左右非対称なものにしたのが“「Adapted」ブーツ”なのだ。すなわち、現在我々が履いている革靴は全て「チャーチ」の影響を受けているといって差し支えない。

 

また、この頃当時存在しなかった「ハーフサイズ」という概念も導入した。「チャーチ」のユーザーファーストな考え方、より歩きやすいものを使用者に提供しようという精神を感じることができる。

 

 

1892年:「Church’s(チャーチ)」の創業者「トーマス」が引退

https://www.pradagroup.com/より

1892年、「チャーチ」の創業者である「トーマス・チャーチ」が引退する。そして末の息子である「トーマス・ダドリー」を共同経営者とした。1894年には大規模な組織改変が行われた。建物も改築が行われ、6階建ての近代的な工場となった。

 

この頃、トーマスの息子である「ウィリアム」は英国内だけでなく、海外市場にも目を向けるようになる。そして実際に南アフリカ、ベルギー、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア・ハンバリー帝国に出向き、輸出事業の基盤を作った。

 

 

1907年:「Church’s(チャーチ)」が本格的に海外市場へ参入

https://www.pradagroup.com/より

1907年には「チャーチ」が本格的に海外の市場へと参入するようになっており、ブランド成長の鍵になったのがアメリカとカナダへの参入であった。1910年アメリカの小売店である「Load&Taylor」などに革靴の「ラスト(靴型)」を提供したことがニュースになり、国を超えて「チャーチ」の名が知られるようになっていった。

 

 

1913年:「Church’s(チャーチ)」が英国王女に靴を献上

Wikipediaより、英国ジョージ5世

1913年に英国のジョージ国王とメアリー王妃が英国ノーザンプトンを訪れる。この時、王女に革靴を献上する栄誉を与えられたのが「チャーチ」であった。

また、1919年には英国靴協会(British Shoe and Allied Trades Researca Association(現在のSATRA))が立ち上げられ、「チャーチ」はその創設メンバーとなる。後に「チャーチ」社と英国靴協会によって“ノーザンプトン・テクニカル・カレッジ”を立ち上げることになる。

 

小さな靴工房から家族4名で始まった「チャーチ」の歴史だが、どんどんその存在感を英国でも世界でも増していった。

 

 

1921年:イギリス ロンドンに「Church’s(チャーチ)」1号店がオープン

1921年イギリス ロンドンに「チャーチ」は1号店をオープンさせる。同年にはブランド初のレディースシューズも発売を行う。

 

8年後の1929年にはアメリカ ニューヨークのマディソンアベニューに海外初店舗をオープンさせる。この店舗70年にわたって運営され、現在は同じマディソンアベニューの689番地へと移転している。

 

 

1939年:第二次世界大戦、「Church’s(チャーチ)」が軍用靴の製造を行う

https://www.church-footwear.com/より

1939年8月には英独戦争が勃発。第二次世界大戦へと発展する。「チャーチ」は軍用靴の製造を中心に事業戦略を行った。1945年には第二次世界大戦は終わり、1957年には北米・イタリア・日本・香港などへ海外進出を続けた。

 

 

1965年:「Church’s(チャーチ)」がQueen’s Award to Industry for excelling in exportsを受賞

 
 
 
 
 
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1965年、「チャーチ」は1913年に続き2回目のイギリス王族の公式訪問を受けた。この時訪れたエリザベス2世によって「英国女王賞(The Queen’s Award)」を授与される。

 

innovation(イノベーション)、international trade(国際貿易)、sustainable development(持続可能な開発)、promoting opportunity through social mobility(社会的流動性を通じた機会の促進)の分野で優れた英国の企業に対して与えられる賞のこと。

これは「チャーチ」が国際的なブラントとして英国から認められた瞬間だった。

 

 

1999年:「Church’s(チャーチ)」はPRADAグループへ

https://www.pradagroup.comより

1999年には「Church’s(チャーチ)」ブランドがPRADAグループへ買収された。買収はされたものの、「チャーチ」の持つ優れた技術や積み上げてきた「ラスト」などは現在も引き継がれている。

 

チャーチのHP(https://www.church-footwear.com/)にはこの買収についてこうある。

同グループは、卓越した職人技術の模範、伝統ある靴ブランドを新たなレベルに引き上げる理想的なパートナーでした。

 

 

「Church’s(チャーチ)」の歴史はそして現代へ

ブランドの「チャーチ」買収から20年。プラダの買収以前の「チャーチ」は愛好家によって愛されている。

しかし、新しい「チャーチ」が市場に受け入れられていないかというと、全くそんなことはない。ブランドの理念や革靴の作り方、伝統などはしっかり脈々と受け継がれているからだ。

これが1873年に創設された「チャーチ」の現代までの歴史である。

 

 

Church’s(チャーチ)の特徴

https://www.instagram.com/churchs/より

ここでは「チャーチ」の革靴の特徴についてお話ししていこう。

 

「チャーチ」の革靴の持つ特徴は3つある。順番に紹介していこう。

 

 

Church’s(チャーチ)の革靴は250以上の製法を1人で行う

 
 
 
 
 
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「チャーチ」の革靴は『ベンチメイド』という作り方で作られる。これは革靴の製法というよりは生産体制のことで、250以上の工程をたった1人で行う。1人の職人が一つの場所で(座り続けて)革靴の製造を行うため、『ベンチメイド』という名前が付けられた。

 

通常の革靴は生産性を確保するために工程ごとに分けて生産を行う。そこをあえて「チャーチ」の場合、熟練の職人1人が1足に向き合って革靴を仕上げている。ちなみに、平均して「チャーチ」の革靴の作成には1足につき8週間もの時間がかかるのだそうだ。『ベンチメイド』は革靴好きにとってこれ以上ない革靴の作り方なのだ。

 

 

最高級の素材をふんだんに使用

 
 
 
 
 
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「チャーチ」の革靴には素材に対して妥協がない印象がある。良いものを積極的に取り入れて、最高のものをユーザーに提供しようという、創業当初から続くユーザーファーストのスピリットを感じるのだ。

“最高級の素材をふんだんに使う”というよりは“いいものを作ろうとした際に、最高級の素材になってしまった”が正しい表現であるような気もするが、あらゆる面で妥協なく良い革靴作りに努めているように感じる。

 

一つ、例を出そう。

https://www.british-made.jp/より

写真は『ポリッシュドバインダーカーフ』と呼ばれるレザー。カーフレザーの表面に特殊な加工を施すことで、通常のものよりも光沢感を持たせてある。さらに、傷や汚れが付きにくく、雨にも強い。

「チャーチ」の革靴によく使われる素材だが、驚くべきことに「チャーチ」はこの素材を自社で開発してしまったのだ。

 

 

セレブリティやジェームズ・ポンドも愛用する「Church’s(チャーチ)」

 
 
 
 
 
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「チャーチ」の愛用者は多岐に渡る。日本の有名人・著名人はもちろん、海外のセレブリティにも愛用者は多い。そしてその愛用者は映画の世界にも。

有名なスパイアクション映画「007」の主人公ジェームズ・ボンドもこの「チャーチ」の革靴を愛用していることで知られている。

 

BURWOOD(バーウッド)というモデル。プラダ傘下に入ったのちに生み出された

また、これはプラダグループに入ったことによる面白い面だと思うのだが、およそ普通の革靴メーカーでは思いつかないよなラグジュアリーな使用の革靴もラインアップに入っている。「チャーチ」と聞くと伝統を重んじる硬派なブランドに思えるが、実はブランドサイトを除いてみるとさまざまなアイテムがラインアップしている。

 

さまざまなデザインのアイテムを自由に選べて、製法は1873年から続く「チャーチ」なので言わずもがな。こういう立ち位置の革靴ブランドも珍しい。「チャーチ」の特徴といっていいだろう。

 

 

Church’s(チャーチ)の定番アイテムがこちら

「チャーチ」にはさまざまな商品がラインアップされているが、今回はその中から定番の3足を紹介してみる。

 

 

Church’s(チャーチ):Shannon / シャノン

https://www.church-footwear.com/より

ブランド Church’s
アイテム名 Shannon
アッパー ポリッシュドバインダーカーフ
ソール ラバーヒール付きレザーダブルソール
製法 グッドイヤーウェルト製法
値段 181,500円 (正規流通品)
80,000〜110,000円程度 (並行輸入品)
20,000〜60,000円程度 (中古品)

 

https://www.church-footwear.com/より

「チャーチ」を代表する外羽根式のプレーントゥシューズが「Shannon(シャノン)」。同ブランドの雨用革靴の代表でもある。

その証拠に使われているレザーはポリッシュドバインダーカーフであるし、アッパーとウェルトの隙間には水などの侵入を防ぐストームウェルトが施されている。

 

美しく、シンプルな形なので、個人的には雨用としてのみ使うのは勿体無い気もする。映画「007」でジェームズ・ボンドが着用したのもこのモデルである。

 

 

Church’s(チャーチ):Consul / コンサル

ブランド Church’s
アイテム名 Consul(コンサル)
アッパー カーフレザー
ソール レザーソール
製法 グッドイヤーウェルト製法
値段 176,000円 (正規流通品)
90,000〜110,000円程度 (並行輸入品)
35,000〜70,000円程度 (中古品)

 

誕生より80年以上の歴史を持つ「チャーチ」の定番「Consul(コンサル)」。内羽根式のストレートチップという革靴として最もフォーマルな形をしている。使われているのはきめ細やかなカーフレザー。深い光沢が上品で気高い雰囲気を与えている。このモデルが傑作として高い評価を受けるのも頷ける。

 

冠婚葬祭からビジネスまでありとあらゆる場面で使える「コンサル」は一足は持っておきたい最もベーシックな「チャーチ」である。

 

 

Church’s(チャーチ):Burwood / バーウッド

ブランド Church’s
アイテム名

Burwood

アッパー ポリッシュドバインダーカーフ
ソール ラバーヒール付きレザーダブルソール
製法 グッドイヤーウェルト製法
値段 176,000円 (正規流通品)
80,000〜100,000円程度 (並行輸入品)
15,000〜30,000円程度 (中古品)

 

1970年に誕生したのがBurwood(バーウッド)。コロンと丸いエッグトゥを内羽根式のフルブローグに仕上げたアイテム。フォーマルなシーンでも使えるが、硬すぎないためジーンズやミリタリーパンツなどカジュアルなパンツと合わせても違和感がない。

 

ソールは屈強な印象を受けるダブルソール、レザーは「チャーチ」定番のポリッシュドバインダーカーフを使用し雨や水にも強い。

カジュアルに履ける「チャーチ」を求めるあなたにどうだろう。

 

 

まとめ:Church’s(チャーチ)とはどんなブランドか

 
 
 
 
 
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今回は「Church’s(チャーチ)」がどんなブランドなのか、様々な面から見てきた。少しでも「チャーチ」に興味を持っていただけたのなら筆者としてこれほど嬉しいことはない。

 

最後に、「チャーチ」のおすすめの購入方法についても少し触れておこう。

Church's

Shop Church's official site. Discover handmade English shoes…

まずは「チャーチ」の日本公式サイトでの購入。限定アイテムなどここでしか購入できないモデルもあるのと、商品数も多いためおすすめだ。

 

次に、並行輸入で「チャーチ」を購入する方法。定番アイテムであればこの方が圧倒的に安く購入できるためおすすめだ。楽天などの場合偽物の心配はまずないが、信頼できる店舗で購入すること。筆者のおすすめは上記の2サイト。実際に使用したことがあり、信頼できると感じたショップなのでおすすめしたい(いずれも楽天市場のショップ)。

 

最後に、「チャーチ」の場合オークションなどでも多く出品がある。モノがいいので、靴のメンテナンスができるのであればお得である。ただ、他人が履いたものに抵抗感があるのもわかるので、そういった場合には購入後、靴のクリーニングを利用してみるのをおすすめする。

▶︎Lenetを見てみる

値段も4,500円程度から行えるので意外にも気軽に利用できるサービスだ。

 

ぜひ、自分に合った方法で「チャーチ」の革靴を手に取ってほしいと思う。