今回はフランスが産んだ世界的な革靴ブランド、「Paraboot(パラブーツ)」についてどんなブランドなのかご紹介していきましょう。
日本だと最近、「ジャンボード」などの取り扱いがセレクトショップでも多いですね。しかし、肝心のブランドの歴史や定番モデル、なぜここまで人気があるのか知っている方はごく僅か。
今回は「Paraboot(パラブーツ)」について、余すことなく解説を行っていきます。
Paraboot(パラブーツ)とは一体どんなブランド?歴史も解説
https://paraboot.shop/より
「パラブーツ(Paraboot)」は、フランスの革靴ブランド。創業は1927年のこと(前身となる工場が生まれたのはもっと前のこと)で、初期はフランス陸軍の要請により、アルプス山脈での過酷な環境に耐えうる高品質の登山靴製作を手掛けていました。
今ではフランスを代表する革靴ブランドとなった「パラブーツ(Paraboot)」。一体どんな歴史を持っているのでしょうか。
1908年:Parabootの前身となる工房を開設
https://www.paraboot.com/より
1908年、靴用皮革の裁断師をしていたレミー・アレクシス・リシャール(Rémy-Alexis Richard)氏がフランス南部で靴工房を開設します。この工房こそが「パラブーツ(Paraboot)」の原点。
工房の開設から2年後の1910年には工房を「リシャールポンヴェール社」としました(結婚相手であったジュエリット・ポンヴェールの名前をとったのだとか)。
靴工房では主に富裕層や軍関係者、登山家など向けにオーダーメイドの革靴製作を行っていました。
1926年:レミー・アレクシス・リシャール氏が渡米
1926年、レミー・アレクシス・リシャール氏はアメリカへ。そこで出会ったのがソールにゴムを使った靴でした。ソールにラバー素材を使うという技術をフランスへと持ち帰ったレミーは翌年の1927年、ラバーソールを使った革靴の生産を開始します。
1927年:Paraboot創業
https://www.paraboot.com/より
1927年、満を辞して「Paraboot(パラブーツ)」が創業されました。由来はラバーソールの原料であるアマゾン産天然ラテックスを輸入していた港の名前(ブラジル・パラ港)から。現代まで続く偉大な革靴ブランドが誕生しました。
1945年:Parabootの定番アイテム「ミカエル」が登場
https://www.paraboot.com/より
1945年には今でも「Paraboot(パラブーツ)」の定番として愛されている「ミカエル」が登場します。このミカエルは19037年に2代目の社長となったジュリアン・リシャール・ポンヴェール氏が生み出した「モジーン」というシューズを改良することで誕生しました。
一説にはエルメスがパラブーツに特注アイテムとして生産を依頼したところから「ミカエル」が誕生したのだとか。
1987年:Parabootの定番アイテム「ジャンボード」が登場
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おそらく日本で最も有名な「Paraboot(パラブーツ)」のアイテムが「ジャンボード」でしょう。1987年にはこの「ジャンボード」が「Paraboot(パラブーツ)」のラインアップに追加されました。
2001年:日本初となるParaboot単独の路面店がオープン
現在のParaboot(パラブーツ青山店
東京の南青山に「Paraboot(パラブーツ)」単独の路面店がオープンしました。ちなみに、日本で「Paraboot(パラブーツ)」の流通が始まったのは1985年のことだったそうです。
現代:Parabootは世界中で愛される革靴ブランドに
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「Paraboot(パラブーツ)」は徐々に市場を拡大し、カジュアルスタイルの靴やビジネスシューズなども展開するようになりました。
フランスを代表する高級靴ブランドとして多くの人々に愛され、フランス国内のみならず世界中で多くのファンを持っています。また、多くのセレブリティやスタイリストにも愛用されており、フランスのファッション界においても重要な位置を占めているといっていいでしょう。
Paraboot(パラブーツ)を代表的する3つの革靴について
https://www.paraboot.com/より
「Paraboot(パラブーツ)」を代表する3つの革靴についてご紹介していきましょう。
Paraboot:MICHAEL(ミカエル)
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「ミカエル(MICHAEL)」は、古くからラインアップにある「Paraboot(パラブーツ)」の定番の一つ。一般的にチロリアンシューズとして呼ばれるデザインの革靴です。
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元々は登山靴として使われていた形であり、ヒール部分には滑り止め用のラバーソールが取り付けられており、快適な履き心地を実現しています。
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また、「ミカエル」はパラブーツの代表的な製法であるハンドソーン製法(特徴的な作り方なので後で解説)で作られており、靴職人たちが手作業で縫い上げています。そのため、高いフィット感と耐久性を実現しています。
Paraboot:CHAMBORD(シャンボード)
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「シャンボード(CHAMBORD)」は、日本で最も人気な「Paraboot(パラブーツ)の革靴」。ビジネスシューズとしてもカジュアルなシューズとしても着用できる、オールラウンドな革靴です。リスレザーを使用しているので、雨でもあまり気にせず履けるのは嬉しいところ。
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このモデルもパラブーツの代表的な製法であるハンドソーン製法で作られているため、高いフィット感と耐久性を実現しています。
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また、底部分には耐久性の高いオリジナルのラバーソールが使用されており、滑りにくく履き心地が評判も高い一足です。
Paraboot:AVIGNON(アヴィニョン)
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「アヴィニョン(AVIGNON)は、本場フランスで最も人気のモデル。「Paraboot(パラブーツ)」中ではエレガントな印象のUチップシューズです。
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このモデルもリスレザーが使われているので小雨程度なら問題なし。また、ラバーソールが使われていて実用性も高い一足に仕上がっています。無論、製法もハンドソーンウェルテッド製法。
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他のモデルに比べてノーズが長くすっきりした形をしているので、これならビジネス使いも問題なくこなせるでしょう。
Paraboot(パラブーツ)の作り方
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「Paraboot(パラブーツ)」の得意とする製法が「ハンドソーンウェルテッド製法」。この製法は、革靴の作り方の中で最も高級な製法の一つで、靴の履き心地が最初から軽くや耐久性に優れているという特性があります。
と、いうのもハンドソーンウェルテッド製法は全ての工程を機械ではなく人の手で行うのです。結果、多くの工程を機械に置き換えて行う他の製法に比べて柔らかな履き心地の革靴に仕上がるというわけ。実に贅沢な作りの革靴です。
靴職人の技術と時間をかけた手作業が必要なため、一足あたりの製造にかかる時間とコストが高くなってしまうのは仕方がないこと。しかし、その履き心地や耐久性の高さ(もちろん、ソール交換をして長く愛用できる)から、多くのファンがいる製法なのです。
Paraboot(パラブーツ)の革靴に使われている素材について
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「Paraboot(パラブーツ)」の革靴に使われている素材に2つほど特徴的なものがあります。知っていると少しだけ鼻高になれるかも。
Parabootといえば「LISSE LEATHER)リスレザー」
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「Paraboot(パラブーツ)」の革靴の多くに使われているレザーが「LISSE LEATHER)リスレザー」です。
「LISSE LEATHER)リスレザー」とは、簡単にいってしまえばオイルドレザーの一種。「Paraboot(パラブーツ)」は元々登山靴も手掛けていたブランドなので革に防水性を与える方法を模索していました。
その過程で生まれたのが「リスレザー」。宝石のように美しいのはもちろん、生後6か月以内の牛から採れるカーフレザーを独自の製法で鞣したレザーで、たっぷりとオイルを染み込ませているため高い防水性を持っています。
また、この「リスレザー」の特徴として、プルームと呼ばれる白い粉が出ることがあります。この処理方法については後ほどメンテナンス方法の部分で。
Parabootオリジナルのラバーソール
革靴やブーツに使われるソールというと、ビブラムソールが有名です。革靴ブランドで自社でラバーソールを生産しているブランドはもうほぼありません。しかし、そんな中でも「Paraboot(パラブーツ)」は自社でのラバーソールの生産を手掛けているのです。
濡れた路面でも滑りにくいのはもちろん、パラブーツ独自のソールのパターンもファンにとっては嬉しいポイントなのです。
Paraboot(パラブーツ)のメンテナンス方法
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どうせ買うなら、「Paraboot(パラブーツ)」の革靴を長く綺麗に愛用しましょう。「Paraboot(パラブーツ)」のメンテナンスの方法について簡単にですが解説していきます。
基本のメンテナンスは他の革靴ブランドと同じ
いかに「Paraboot(パラブーツ)」といえども、基本的なメンテナンスは他の革靴と同じ。履いた後と履く前のブラッシング、それから定期的ば靴クリームを使ったメンテナンスが基本になります。
大切なのはしっかりと定期的にメンテナンスすること。これが綺麗に長持ちさせるコツです。
あかパンダ 革靴が大好きなブロガー、あかパンダ(@akapandablog)です。 このブログでは革靴のメンテナンス方法を多く取り扱っています。 革靴のケアをする際に参考にしてもらいやすいよう、今まで解説してき[…]
LISSE LEATHER特有のプルームの処理方法
「LISSE LEATHER)リスレザー」ですが、ブルームという白い粉が革の表面に浮かんでくることがあります。この処理方法についてお話ししていきましょう。
処理は簡単で、革靴用の靴磨きブラシで磨いてやるだけ。これだけでブルームがレザーの内部に戻り、レザーの光沢も元通り。ブルームとはレザーの中にあるロウや油分のことなのです。
Paraboot(パラブーツ)の人気の秘密
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「Paraboot(パラブーツ)」ですが、ブランドの顔ともいえる有名モデルがたくさんあることが人気の秘密だと考えています。
日本ではカジュアルな「シャンボード」が人気ですが、フランス本国では「アヴィニョン」が最も人気なのだそう。どうやらカジュアルでもビジネスでも使える優等生なところに惹かれているようです。
そして「ミカエル」。このチロリアンシューズにはエルメスとの深い関わりがあり、半ば伝説となっています。
こうしたブランドのアイコンとなるようなモデルが数多くあることが幾度もの流行につながり、 多くの支持を集めるに至っているのだと思います。
Paraboot(パラブーツ)のおすすめの購入方法
「Paraboot(パラブーツ)」のおすすめの購入方法についても紹介しておきましょう。
Parabootの革靴は8万円程度が相場
まずは「Paraboot(パラブーツ)」の相場についても触れておきます。「Paraboot(パラブーツ)」の公式サイトを見てみると、モデルによって価格は異なるものの、おおよそ8万円程度が一般的な革靴の相場になります。
ローファーなどはもう少し安いですし、良い革を使ったモデルだともっと高い。
ビジネス用の革靴の相場は3〜5万円と言われますから、「Paraboot(パラブーツ)」の革靴は高級品であることがわかります。
少しでも安価に購入したいなら並行輸入品を狙ってみよう
一方、少しでも安く「Paraboot(パラブーツ)」の革靴を購入したいという場合には並行輸入品を狙ってみると良いでしょう。
楽天市場などでは並行雨輸入品として公式サイトよりも3万円程度安く販売されている「Paraboot(パラブーツ)」も。ただし、入荷とともにすぐに売り切れてしまうので手に入るかどうかは運次第。
定期的にショップを確認してみるのが良いでしょう。
筆者おすすめのショップはこちら
Paraboot(パラブーツ)を選ぶ際のポイント
最後に、自分に合った「Paraboot(パラブーツ)」の選び方を解説しましょう。
- ミカエル
- シャンボード
- アヴィニョン
筆者的には、定番でも紹介した、上記の3足から選ぶのがおすすめ。
そしてその3足の中から選ぶに当たっては、どんな場面で主に履きたいのかイメージするようにしましょう。
ちなみに、ミカエルはカジュアルな見た目なのでビジネスソーンには向きません。逆にアヴィニョンならビジネスでも対応可。シャンボードはビジネスカジュアルが許されるような職場ならOKですが、硬い職場では不向きかもしれません。
シーンに合ったあなたにぴったりの「Paraboot(パラブーツ)」が見つかりますように。祈っています。